会社を休眠させるメリットとデメリットまとめ|休眠中は法人税や固定資産税などの税金は免除される?
会社は、経営者自ら会社を休眠させる手続きをとることや、会社の形態に合わせて決められた期間登記をしないことで休眠会社として扱われます。
会社形態 | 休眠とみなされる条件 |
休眠会社 | 最後の登記から12年が経過している株式会社 |
休眠一般法人 | 最後の登記から5年が経過している一般社団法人・一般財団法人 |
この記事では、会社を休眠させることに対するメリットとデメリットをまとめています。
会社を休眠させるメリット
メリット | デメリット |
いつでも事業を再開できる 事業再開時に許認可を取り直す必要がない 費用がかからない | 消費税・法人税がかからない休眠中も税務申告が必要 役員の変更登記が必要 最後の登記から12年が経過するとみなし解散となる | 不動産などを保有している場合固定資産税がかかる
消費税・法人税がかからない
休眠中は事業活動をしていないため、当然ですが消費税や法人税が発生しません。
消費税…
商品販売やサービス提供に対して課税される税金。
休眠中は商品の販売やサービスの提供は行わないため発生しない。
法人税…
会社の所得に対して課税される税金。
休眠中には課税所得は生まれないため発生しない。
逆に、消費税や法人税が発生する場合は会社を休眠させておくということはできません。
いつでも事業活動を再開できる
税務署等へ再開の申告をすることでいつでも事業を再開することができます。
社名や社会保険の資格等もそのまま残したまま休眠させることができますので、ややこしい手続きや申請を行うことなく休眠前の状態で事業を再開できます。
事業再開時に許認可を取り直す必要がない
前項と少し重複しますが、事業に対する行政からの許認可関係も残したまま休眠できますので、再開時に許認可を再取得する必要もありません。
廃業してしまうと再開する場合には許認可を取り直す必要がありますので、ここが最も大きいメリットかもしれませんね。
費用がかからない
会社を休眠させるデメリット
メリット | デメリット |
いつでも事業を再開できる 事業再開時に許認可を取り直す必要がない 費用がかからない | 消費税・法人税がかからない休眠中も税務申告が必要 役員の変更登記が必要 最後の登記から12年が経過するとみなし解散となる | 不動産などを保有している場合固定資産税がかかる
不動産等を保有している場合、固定資産税がかかる
不動産を保有している場合、毎年の固定資産税等の不動産にかかる税金は発生します。
また、休眠中は不動産から収益は発生しないはずですので、不動産が負の資産となってしまい、毎年赤字になることとなってしまいます。
もちろん、事務所などを賃貸している間は賃料が発生しますので支払い義務は継続されます。
休眠中も税務申告が必要
休眠中の会社にも税務申告の義務があります。
休眠中の会社も、毎年決算を行い、申告をしなければなりません。
この申告を2期に渡って怠ると、青色申告の権利を喪失し、喪失後は喪失した日から1年間青色申告の申請ができなくなってしまいます。
役員の変更登記が必要
株式会社の役員の任期は10年間であるため、休眠中でも役員の任期満了による役員変更の登記が必要になります。
役員変更の登記は、役員変更から2週間以内に完了しなければならず、期限内に登記しなかった場合には100万円以下の罰金に科せられる可能性があります。
最後の登記から12年が経過するとみなし解散となる
休眠中であれ登記をしないまま放置し、12年が経過すると「みなし解散」となる恐れがあります。
商業登記法により同一の場所で同一の商号での登記ができなくなっていますので、法務大臣の権限により強制的に会社が解散したものとして扱われます。
法務局からみなし解散の通知が届いた場合、2カ月以内に会社が存続している旨の届出を行えばみなし解散を防ぐことができますが、届出を行わなかった場合みなし解散の登記がなされます。
みなし解散からさらに3年が経過すると、会社は清算するしかなくなってしまいます。
「休眠」と「解散(清算/廃業)」、「みなし解散」との違い
休眠と解散の違い | 休眠 | 解散 |
会社の存続 | する | しない |
費用 | かからない | かかる |
事業再開時の許認可 | そのまま | 取り直し |
解散(廃業)
経営者が自ら会社を解散して事業を廃業することです。
将来事業を再開することはできません。
みなし解散
休眠状態が続く会社に対して、法務大臣が「解散してますか?」との旨の公告を行い、公告を受けて、会社から「まだ事業を廃止していないですよ」との旨の届出が出ない限り解散したものとみなすものです。
商業登記法上、同じ所在地で同じ商号の登記ができなくなっているため、事業を行う意思のある別の人に席を空けてあげるために法務局により強制的に解散手続きがとられます。
将来事業を再開することはできません。
休眠
会社そのものは残したまま事業を一時停止できます。
毎年の税務申告や役員登記は必要ですが、会社の資産や事業の許認可を残したままにしておくことができ、いつでも事業を再開することができます。
また、休眠中には消費税や法人税がかからないというメリットがあり、さらに自治体によっては法人住民税の均等割が免除されることもあります。
こんな人には解散ではなく休眠がおすすめ!
基本的には、一時的に会社経営が困難になった場合で、いずれ問題が解決したら会社経営を再開したいという場合には「休眠」がおすすめです!
- 経営者の体調不良
- しばらくの間別事業へ注力したい
- 後継者決定まで期間が空く
- 新規事業の検討に注力したい など
コメント