不動産屋を1人で開業したい!必要な初期投資の金額はいくら?
独立して一人社長の不動産屋を始めたい!という方に読んでもらいたい記事です。
独立して1人で不動産屋を経営してみたいという方に向けて、不動産屋での独立開業にかかるお金について解説していきます。
1人で不動産屋は開業できる?
結論、不動産屋の開業は1人でも出来ます。
不動産業は大きく分けて、開発(分譲)・流通(仲介)・賃貸(大家)・管理の4業態に分類されます。
分類 | 内容 |
不動産開発 | 分譲住宅やマンションの開発を行う |
不動産流通 | 不動産の売買や賃貸の仲介を行う |
不動産賃貸 | 所有している不動産の貸し出しを行う |
不動産管理 | マンションやビルの管理を行う |
この中で比較的独立開業しやすい業態が、不動産の流通(仲介)です。
仲介業は、売買の売り手と買い手、賃貸の貸し手と借り手を繋げる仕事ですので、在庫を持つ必要がなく、原価がかからない仕事ですので、経営にかかる費用が少なく済みます。
次に、不動産の管理も在庫を持たずにオーナーの物件を管理する仕事ですので、近場の物件を複数管理することができれば人件費も多くかけずに運営することができる可能性があります。
一方で、不動産の開発は、流通や管理に比べて必要なコネクションが多いですし、不動産の賃貸は物件を所有する必要があります。
不動産流通(仲介)業を1人で開業するメリット・デメリット
独立して1人で不動産流通(仲介)業を開業するメリットとデメリットを紹介します。
不動産流通(仲介)業を1人で開業するメリット
1人で不動産屋を開業し、不動産の流通(仲介)業を営むメリットは以下の通りです。
- 開業に必要な資金が少なく、在庫を抱えないためリスクが小さい
- お客様との距離が近く、親身な提案が可能
- 1件の成約による収益が大きいので。ワークライフバランスがとりやすい
不動産屋は、宅建の資格を取り、事務所を用意し、宅建免許を申請して取得すれば1人でも開業することができます。
また、開業に必要な費用も、法人の設立を含め400-500万円程度で可能なため、他の業態と比べても開業のハードルは低いと言えるでしょう。
不動産流通(仲介)業を1人で開業するデメリット
一方、デメリットは次の通りです。
- 物件の情報を得るための人脈・集客力が必要
- 足が長い案件も多く、入金するまで安心はできない
不動産の売買仲介は、売物件の情報か、買い手の情報がなければなりません。
売物件の情報は、レインズに掲載された情報を活用することが可能ですが、同じ物件を他社も取り扱うことができるため、競争が発生します。最新の物件情報を掴んでおくことや、売物件の募集を行う必要があります。
また、不動産の売買は短時間で完結するものではなく、長い時間かけて調査や確認が必要になるケースがほとんどです。
お客様にとって高額な買い物になりますので、決断に時間がかかることが多々ありますし、また売買契約を締結した後に契約が破棄されることも想定している必要があります。
不動産屋を開業するために必要な準備
不動産屋の開業に必要な準備は以下の通りです。
- 開業資金の準備
- 宅地建物取引士の設置
- 事務所の設置
- 法人の設立
- 宅建業免許の申請・取得
開業資金はおよそ400~500万円程度が必要になってきます。
また、一人社長で不動産屋を開業する場合には、社長自らが宅建士の資格をもっていなければなりません。
不動産屋の開業に必要な資金(初期費用)
不動産屋の開業に必要な初期費用は次の通りで、合計で400~500万円程度が必要になります。
- 法人設立費用
- 宅建業免許申請費用
- 営業保証金/保証協会入会金
- 事務所設置費用
- その他の費用
法人設立費用
法人の設立にかかる費用は次の通りです。
宅建業は、株式会社でも合同会社でも登録することが可能ですが、株式会社と合同会社では設立に必要な費用が異なります。
法人形態 | 株式会社 | 合同会社 |
登録免許税 | 150,000円 ※1 | 60,000円 ※2 |
定款の認証手数料 | 30,000~50,000円 ※3 | 50,000円 ※4 |
定款に貼る収入印紙代 | 40,000円 (電子定款の場合0円) | 40,000円 (電子定款の場合0円) |
定款の謄本交付料 | 約2,000円(1枚につき250円) (電子定款の場合300円) | 約2,000円(1枚につき250円) (電子定款の場合300円) |
株式会社と合同会社では、法務局で納める登録免許税に9万円の差があります。
また、定款の申請には紙での申請と電子申請の2通りのやり方がありますが、電子で行う場合は収入印紙代の4万円の支払いは不要です。
宅建業免許申請費用
宅建業の免許申請費用は設置する事務所が複数の都道府県にまたがるかどうかによって「国土交通大臣免許」と「都道府県知事免許」に区分されています。
設置する事務所 | 免許の種類 | 申請費用 |
複数の都道府県 | 国土交通大臣免許 | 90,000円 |
1つの都道府県 | 都道府県知事免許 | 33,000円 |
2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合は国土交通大臣免許の申請が必要になり、1つの都道府県のみに事務所を設置する場合はその都道府県の知事免許の申請が必要です。
営業保証金/保証協会入会金
不動産屋を開業するには、最寄りの供託所へ営業保証金を供託もしくは保証協会への入会が必要になります。
営業補償金や保証協会への入会は、「顧客との間でトラブルが発生し、宅建業者が費用を払わなければならないが支払うお金がない」といった場合に供託しているお金を弁済金として支払うためのお金です。
万が一顧客との間でトラブルが発生した場合の債務の履行のための担保と考えておけば良いでしょう。
営業保証金の供託は宅建業法で定められた宅建業者の義務ですが、営業保証金が非常に高額であるため、保証協会に入会することで営業保証金を抑えることが可能です。
営業保証金
営業保証金は設置する事務所ごとに供託の必要があり、本店と支店で金額が変わります。
対象の事務所 | 供託金額 |
本店(主たる事務所) | 1,000万円 |
支店(その他の事務所) | 500万円 |
営業保証金は、最低でも1,000万円の供託が必要であるため、開業するタイミングで満額を供託できない会社がほとんどだと思います。しかし、後述する保証協会への入会により、この費用をグッと抑えることが可能です。
保証協会入会金
保証協会への入会は必須ではありませんが、保証協会に加入して60万円の分担金を納付することで、1,000万円の供託をせずに開業することが可能です。
また、保証協会にはハトのマークの全宅(全国宅地建物取引業協会)と、ウサギのマークの全日(全日本宅地建物取引業協会)の2つがあり、どちらに入会するかや、各都道府県により入会金が変わります。
どの都道府県でどちらの協会に入会しても、およそ120~180万円の支払いで済みますので、営業保証金の供託に比べると大幅にコストを抑えることが可能です。
どちらの協会に入会しても営業保証金が抑えられるというメリットは変わりませんが、約8割の不動産業者が「全宅」に加入しているようです。
東京都で協会に入会する場合に必要な費用を以下の表にまとめました。
入会する事務所の種類 | 本店 | 支店 |
東京都宅地建物取引業協会への入会金 | 500,000円 | 400,000円 |
└不動産講習会受講料 | 8,640円 | 8,640円 |
└会費(年額) | 48,000円 | 48,000円 |
全国宅地建物取引業保証協会東京本部への入会金 | 200,000円 | 100,000円 |
└弁済業務保証金分担金 | 600,000円 | 300,000円 |
└会費(年額) | 6,000円 | 6,000円 |
東京都不動産協同組合への加入手数料 | 50,000円 | 50,000円 |
└ | 出資金30,000円 | 30,000円 |
└賦課金(年額) | 18,000円 | 18,000円 |
合計 | 1,388,640円 +年額72,000円 | 888,640円 +年額72,000円 |
また、協会に入会するとレインズや契約書のひな型を無料で利用できるようになります。
事務所設置費用
事務所の設置費用は、各個人の状況によって大きく変わりますが、ざっくり以下のような費用がかかります。
- テナント代(敷金、初期賃料)
- 内装工事費用
- オフィス家具費用(デスク、チェア、パソコン、電話、複合機等)
- 消耗品費(文房具、印鑑、事務用品等)
こだわりにもよりますが、一般的には、200万円程度あれば用意できると考えておけば良さそうです。
その他の費用
その他には、営業用の自動車の購入や、一部業務の外注費用などがかかります。
集客のために準備しておくべきこと
開業前に集客の方法をよく検討しておきましょう。
不動産の営業というと、チラシがポスティングされていたり、電話による営業のイメージがありますが、最近ではホームページやSNS等オンラインでの集客が目立ってきています。
自社のホームページやブログ、SNSを開設し、コンテンツマーケティングを行うことや、Googleビジネスプロフィールへの掲載等で集客の効率を上げることがおすすめです。
コメント